デジタルトランスフォーメーション研究所

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環境の変化に対応すること(進化の歴史からの学び)

 ネコ科の猛獣で約10万年前に絶滅したと言われるサーベルタイガーは、当時ライオンなどと並んで食物連鎖の頂点に立つネコ科の猛獣であった。主食は、マンモスのような動きは遅いが大きな動物であり、これらの動物を捕食するために必要な要素は「早さ」ではなく、大物をしとめることのできる「破壊的な強さ」であった。この強さの象徴として、長い牙が知られており、獲物に深く突き刺して、致命傷を与える優れた武器であった。
 しかし、サーベルタイガーにとって重要な環境の変化が起こった。人類の登場である。人類は、集団でマンモスを食用に狩るようになり、マンモスが絶滅する最大の要因となった。その結果、サーベルタイガーなどの肉食獣は、もっと動きの速い動物を狩る必要に迫られた。動きが速い草食動物を狩るためには、より早い動きや、群れでの狩りや夜間に狩りをする能力が必要となった。環境の変化により「勝ち組になる要素」が変化したわけである。

(新しい勝ち組になる要素)

・群れで狩りができる

・夜間視力を高めて夜間に狩りができる

・俊敏に動けるスピード

ライオンはこれらの能力を身に着けて、夜間の視力を上げ、夜間に獲物にこっそり近づいて狩りをする能力を向上し、環境に対応した。

 その一方、サーベルタイガーは「破壊的な強さ」で最も進化をしていたために、早さではライオンにかなわず、夜間視力もあがらないままに、逃げ足の速い草食動物を捕食する能力を身に着けられないうちに絶滅したと言われている。

 サーベルタイガーは力強さでライオンを上回っていたが、その牙の大きさゆえに俊敏さではライオンに劣っていたといわれる。新しい「勝ち組の要素」に向かって誰が一番近づきやすいか、そのために今持っている能力(コアコンピタンス)を生かせるか? これが野生動物の王者として君臨できた種とできなかった種の分かれ目ではないかと思う。

今、企業は第四次産業革命と呼ばれる大きな環境の変化に直面している。この環境の変化に対応できるとすれば、

・勝ち組の要素がどう変わるのかを知ること

・あるべき姿を再定義し、何をどう変革するべきか知ること

・今現在のコアコンピタンスを生かして、いかに早く先着するか

などの要素が必要不可欠になる。私たちは、歴史上の進化から多くのことを学び、自分事としてなぞらえてみることも必要である。