デジタルトランスフォーメーション研究所

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親子で学ぶことの重要性

最近の小学生の学び

最近の小学生の学びは、私が昭和時代に教科書で学んできたことと大きくことなる。その理由は大きく2つに分けられる

  1. 当時学んだことが間違っていたから

  2. 当時学んだことと、今身につけるべきスキルが大きく変わったから

人類の進化の図のイメージ

1 項については、冥王星が惑星ではないことがわかったり、ネアンデルタール人が人類の祖先であるかのように記述されていたこと、エオマイアは最初に胎盤を獲得したほ乳類ではなかったことなどだ。これらは科学の進歩とともに結論付けられた事実の変更や、不適切な認識で教科書が作成されたことや、最近発見された化石により証明された事実によるものなどだ。

2 項については、学習指導要領がよりアクティブラーニングになったり、集団行動強化型になったりすることもある他、プログラミングなどのIT素養を義務教育に取り入れた結果なども影響している。

今身につけるべきスキル

プログラミング、ロボット教育のイメージ

今身につけるべきスキルは、社会のデジタル変革に大きく影響をうけている。今で言うと、従来型の詰込み教育から、プログラミング、ロボット、AIのようなテクノロジーやSDG'sのような社会問題に大きく教育のリソースを再配分することが求められており、世界的にもその趨勢は明らかだ。日本は、少子高齢化社会にあるため、政治や教育の方向付けをする主要なポジションが高齢者に占められているほか、学校現場のトップも高齢化しているためデジタル教育が諸外国より遅れており、失われたXX年がさらに長期化することが危惧されている。

親が子供と一緒に学ぶ

私は小学生の息子と一緒に学ぶように心掛けている。うちの息子はロボットが大好きで将来人の役に立つロボットを作りたいと幼いころから言っている。そのため、モノ作りの現場やプログラミングには大きな関心を示している。ここで重要なのは、親が一緒に学ぶことだ。何も小学生と一緒に九九を学びましょうとか、漢字の練習をしましょうとかいうことではない。子供と一緒にロボットの本を読み、関心を持ち、一緒に教養を身につければよいのだ。つまり「今身につけるべきスキル」については、私たちが学生時代に習ったものとは全く違う世界であり、私たちも学んでこなかったものだ。親にとっては、最新の社会環境に順応していくためのリカレント教育は重要であり、学び続けない人に分与される仕事は徐々に減っていく。イノベーションを起こし、新しい価値を創造するスキルを身につけることは重要であり、この点は子供と一緒の学ぶ姿勢が必要だ。

子供が親と一緒に学ぶ

親が学ぶ姿勢を見せ、さらに興味をもったことを深堀していけば、おのずと子供にも探究する姿勢がみにつく。また、親から教わるばかりではなく、一緒にスタートして学べる分野があるほうが、子どもとしてもモチベーションが沸く。まだ親も知らないような事実に出会ったとき、子どもの目は輝く。「お父さんとお母さんは勉強しなくてよくてズルいな」と子供が言う時がある。「大人は勉強しなくていいのよ」と返されたとき子供のわだかまりは解けないし、論理的にも納得いかないはずだ。「大人は多くのことを知っているけど、知らないことは一緒に学ぼうね」という姿勢を見せれば、「知らないことは大人になっても学ぶんだ」と子供は理解し、学ぶことの目的を論理的に腹落ちできるはずだ。

息子と一緒にロボットの本を読んでみた

親子で本を読むイメージ

息子が面白いよと言う本を手に取って読んでみた。今朝の推奨本は、ブリタニカ科学まんが図鑑”ロボット”であった。ロボットの本質を、単なるテレビ番組に登場するヒーローというイメージから、現実的なものに転換し、将来おこるべき期待やリスクについて解説をしてくれていた。漫画で描かれているので子供にも読みやすいが、大人にとってもためになる知識が並んでいる。

ロボットという言葉を作ったのはカレル・チャベック

カレル・チャベックが1920年に発表した戯曲「R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)」で人間のために働く機械を指す言葉としてロボットという単語が初めて使われたとのこと。この作品は技術の発達が逆に人間を滅ぼすという危険を警告した作品で、1921年にプラハ国立劇場で初演されている。当時は、強制労働をする奴隷という意味の単語”robota”のaをとって"robot”と命名したのが始まりらしい。

ロボットが人類を滅亡に追い込む可能性についての指摘は当時からあったものの、語源が強制労働をする奴隷という意味から来ていることが当時の時代背景をうかがわせる。

ロボット三原則のアイザック・アシモフ

1940年にアイザック・アシモフが自身の小説の中でロボットが従うべき規則をまとめたものが有名な「ロボット三原則」である。

  • ロボットは人間に危害を加えてはならず

  • 人間の命令に従い

  • 自らを守らなければならない

ロボットと人間のイメージ

この80年も前に作られたロボット三原則であるが、今でもロボットやAIの倫理を考えるときに引き合いに出される理念である。最近では、「人間が命令すれば何でもするのか?」「AIのトロッコ問題」など、複雑化していることと思うが、技術の進化がどのようなリスクをもたらすかという点について正しく理解し、議論することは、親子間で実施するに値する大きなテーマだ。同時に技術とサステナビリティの関係についても常に親子で議論しておくことも重要ではないだろうか。

最初に自動装置を作ったのは古代ギリシャのヘロン

ギリシャの機械学者であり、物理学者、数学者であったヘロンが世界で最初に自動装置を作った。古代ギリシャでは、様々な学問を1人の学者が学んでいた。アリストテレスも哲学、倫理学、自然科学、文学などなんでも来いの学者だったと聞いているので、ヘロンの機械学、物理学、数学くらいであれば、今風でいうSTEM教育のようなカバー範囲であろう。

ヘロンは、火をつけると開く門やコインを入れると盛衰が出る自動販売機を作るなどを開発し、人々をあっと驚かせた。状況判断をするわけではないので、ロボットとは呼べないかもしれないが自動で動く機械を作ったわけだ。これらについては、その仕組みが解説されていて、子どもでも理解できる構造のものだ。このように複雑な機械でも、中身は知恵とアイデアで設計されているということがわかれば、子どもにとっても機械は不思議なブラックボックスではなく、タネも仕掛けもあるもので、頑張れば自分にも作れるという希望を持つことができる。

これからのスキルと日本の競争力

子供と一緒の学ぶと、子どもの関心、進みたい方向性についてより正しく理解できる。子供の「好き、やりたい」を応援することもできる。なんでもかんでも詰め込んで、オールマイティに仕上げる教育は、日本が軍国主義だった時代に作った教育制度の遺産である。早くその呪縛から抜け出し、個性を伸ばし、はやいうちに自分のやりたいことを見つけ、それに対して自ら探究できる環境を作れる。そんな教育に早く切り替えていきたい。

それが日本のイノベーション力につながり、新しい環境に対応する力につながる。教育についても、いままでと 同じやり方ではダメだと思う一方、大企業に入るために学歴が必要で、そのために良い大学に入らなければならず、そのために受験戦争を勝ち抜いてよい高校にはいらないといけないので、知識を詰め込むための塾に行くという発想はまだまだ根強い。日本の競争力を高めるためには、未来をしょってたつ子供の教育が重要なのは言うまでもないが、その子供にどのような教育を受けさせるべきかと考える大人のリカレント教育が先に重要かもしれない。

(荒瀬光宏)

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