次の12年で日本社会からなくなるもの

新しい子年を迎えるにあたって、日本社会の次の12年について、なくなるもの、変わるものを予想してみます。12年後は、2032年で、シンギュラリティイヤー(2045年)との中間地点になりますね。

1)労働の流動化/副業していないサラリマンが15%以下に

少子高齢化と機械/AIによる労働代替が進み、サラリーマンは会社を選ぶのではなく、業務を選ぶようになる。その結果、複数の会社で自分の得意とする業務を担当する副業形式やフリーランス形式が労働の大半を占めるようになる。その結果、人材紹介ビジネスが加速的に進化する。

2)名刺が淘汰/紙の名刺交換率が10%以下に

副業が増えて副業対応名刺入れが売れる。そのあとに、企業での労働者としての個人ではなく、個人としての名刺(複数企業名を掲載など)の必要性が高まる。しかし、名刺という紙媒体の存在の必要性が最後はなくなり、デジタルでクローズした「連絡先交換」に収斂される。当面は、Eight、LinkedInなどがマーケットリーダーとなると思われる。

3)電子メールが淘汰/企業内コミュニケーションの10%以下に

効率の悪い電子メールというコミュニケーション手段の存在感がビジネスシーンから消える。特に社内コミュニケーションで電子メールを使い続ける企業は大幅に減少する。その際の代替手段として何がメジャーになるかの覇権争いはこれから激化する

4)現金が淘汰/電子決済の利便性が浸透し、現金決済は市場の5%以下に

電子決済への抵抗がなくなり、現金で決済するメリットがなくなる。現在小口決済ではまだまだ現金は主流だが、電子決済手段がさらに多様化する。様々な事故は発生するだろうが、その都度、サービスが真価を遂げていく。何がメジャーになるかの覇権争いはさらに激化する

最終的にはすべての資金の移動が政府から見える状態になり、税金の徴収にかかわる効率が飛躍的に高まる

5)プラスチックが淘汰/使い捨てプラスチックは市場から消える(0%)

SDGs達成に向けた取り組みがすべての地域、企業で本格化し、この先10年で使い捨てプラスチックがゼロになる。代替手段としての紙がストローや包材に使われるものの、紙なら棄ててよいという問題が解決しないため、バイオプラスチックのような分解可能な素材の開発競争が激化、この12年でプラスチック代替素材を制した大企業が出現する。

6)教師が大幅に減る/現行の半数以下に

ルーチンワークから人類が解放されるために日本人の教育が専門特化したものにさらにシフトする。基礎教育はオンラインやデジタルを活用したものにシフトし効率が上がる半面、専門特化した教育は様々な現場にいる社会人が直接教えに来る。集合教育は、グループワーク、ディベート、リーダーシップを学ぶ場となる。

7)テレビ(地上波)放送/終了

人々の生活様式の変化に伴い、決まった時間にテレビをつける、チャンネルを選んで番組を見るということがなくなる。テレビ番組はコンテンツという形でオンデマンドにすべて移行し、スポーツやニュースなどの生中継に価値があるコンテンツはライブのオンデマンドメディアに移行する。ニュースのアグリゲーションサイトのように、コンテンツアグリゲーションサイトに近いものは増えると思われるが、放送法などのレギュレーションの緩和がどう進展するかも産業の変革の重要なカギとなる。受信機という役割を持っていた家電としてのテレビがどう新しい生活様式の中で残るかはこれからの業界の努力次第か。

8)食糧と飲用水が不足

人口が減る日本のような国では余剰するが、人口が増え続けている地域で食糧と水の問題が深刻化。定量的な数字は示しにくいが、食料と飲用水の問題を解決するために、全世界的な取り組みが進展し日本もその影響を大きく受ける。

9)介護する人が大幅に不足

介護と医療分野についても、定量的な数字は示せないが、課題先進国である日本において、必然性が高まった結果、多くのロボットやサービスが開発され、世界の高齢化市場をけん引する。個人情報関連のレギュレーションをどう緩めて多くのデータを機械学習に活用するか、実証実験を進めるかが、産業育成の鍵となる。

10)運転手/道路を走る車の数に対して、10%以下に

自動運転のレベル5が日本でも認められ、運転手のいない車が主流となる。車の形や居住空間が今と全く異なるものに変化し、駐車場付きの居酒屋などが増える。サービスエリアが運転手の休憩場所としての役割を終え、高速道路上のサービスが大幅に変貌する。公共駐車場は入出庫や運転手が下りるためのスペースを最小限にできるため容積率があがる。また、駐車料金を払いたくないために不必要に車を周回させるなどの行為による道路の無駄な占有を避けるためのルールなど、様々なレギュレーションが新たに作られ、様々な関連業界が栄枯盛衰する。

11)士業の仕事がデジタル化で減少/現行の専門サービスは6割減へ

従来の専門サービスはデジタルに次々と代替が始まり、データとプラットフォームを作ったプレイヤーが勝ち組となる。国家資格をもった士業については、その提供するサービスを社会のニーズにあわせて進化させていくことを求められる。

12)パスワードがなくなる/現行の5%以下

英大文字小文字数字記号を含んだパスワードをサービス毎に作り、定期的に更新させられる作業がなくなる。顔認証、静脈認証などの生体認証を安全に使う手法が確立し、パスワードの設定や記憶という作業から人類が解放される。ただし、その間、多くのセキュリティ犯罪は行われ、いたちごっこを繰り返しながら、生体認証は社会的な信用を徐々に築く。

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月間事業構想の5月号のDX特集に掲載

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