第四次産業革命後のKSF(成功の要因)
第四次産業革命後のKSFの定義
第四次産業革命がどのようなもので、それによって、KSF(成功の要因)が大きく変化することは、前回記述した。
では、その新しいKSFとはどう定義するべきであろうか。もちろん、ビジネスの状況や業界などによって、KSFは異なって当然なのだが、すべての業界やビジネスに普遍的なKSFは何かと聞かれれば、以下のように私は定義している。
「データを活用した顧客体験価値の向上を高速に実行可能なメカニズムの構築」
KSFの解説「データを活用した」
データを活用したという部分は、データの活用は手段であって目的ではないので、ここに書かなくても良いのではないかと考える人がいることと思う。確かにその通りだ。しかし、この第四次産業革命のトリガーとなったのは、デジタルテクノロジーであり、その本質はデータの活用である。つまり、データを活用しなければ、このKSF SFを満たすことはできない。そのため、あえて、KSFの定義に入れるべきと考える。
KSFの解説「顧客体験価値の向上を」
顧客体験価値の向上は、中長期的な自社の企業価値向上に寄与する最大のファクターの1つである。どれだけ良いサービスを提供しようが、他社に模倣され、顧客を奪われてしまうと、自社の企業価値や事業価値は長期的に向上させることができない。顧客がスイッチングすることを防ぐ唯一の手段は、顧客がほかのサービスに切り替えたくないと感じさせるロイヤルティを構築することである。そのために、顧客に驚きと感動を与え、課題を先回りして解決する活動こそが、サービスの長期的な繁栄を約束する。また、満足した顧客は他の顧客を紹介する。このように満足した顧客が見込み顧客を紹介することに勝る営業活動はない。
KSFの解説「高速に実行可能な」
従来の四半期に振り返って修正するようなPDCAではもはや競争に打ち勝つことは難しい。どのような事業判断かによるが、細かい判断は常にリアルタイムに実施し、より事業のゴールとするKGFに近づく修正をかけられるようにすることが必要だ。それにより早くデファクトスタンダードとなり、常にサービスのあるべき姿を見直し続けることができる。そのためには、経験と勘と度胸の経営(KKD)から脱して、データを見て議論と判断する組織文化に変えていく必要がある。
KSFの解説「メカニズムの構築」
すべての判断を人間がしているわけにはいかないが、すべての判断を機械に任せることも難しい。どのような判断は機械に任せ、人類は機械が得意でない分野や、機械の判断が適正化どうかをチェックする立場に変わらなければならない。つまりルーチンワークに近い判断ではなく、より高次元の判断に人類がシフトすることによい、サービスや事業がさらに進化可能となるのである。これらの仕組をメカニズムと呼んでいる。あくまでも、どのようなインプットに対して、どのように判断し、どうアウトプットするかを設計するのである。
このメカニズムが出来上がり、進化しつづけられる組織になることと、そうでない従来の組織では、加速度的な差の拡大が進み、中期的には競争が成立しなくなることは、言うまでもない。
(荒瀬光宏)
DX実践道場 https://dojo.dxlab.jp/
DX経験者や専門家の実践知を集積するオンラインスクール
DX LAB通信 https://www.dxlab.jp/press
最新の実践的DX情報の発信しているブログ
ニュースレター https://www.dxlab.jp/newsletter
DXに関わる人なら押さえておくべき情報や弊社に関するお知らせを発信しているニュースレター