【書評】DX経営図鑑(金澤一央・DX Navigator編集部)

【書評】DX経営図鑑(金澤一央・DX Navigator編集部)

【書評】DX経営図鑑(金澤一央・DX Navigator編集部)

概要

DX経営図鑑

発行日: 2021年3月16日

著者 : 金澤一央・DX Navigator編集部

発行者: 天野智之

発行所: 株式会社 アルク

媒体 : 電子書籍、単行本

書籍の構成と内容

Part1 世界のDX事例と価値交換の仕組

米国および中国事例などを中心に、どのように価値提供の仕組が変わったか、そのビジネスモデルについて多くの事例を紹介している。

Part2 業界別に見るDX事例

小売、飲食、輸送・物流、金融、医療・教育、BtoBとそれぞれの産業ごとに産業が変革するポイントについて、国内外の事例を引き合いに出しながら解説している。

誰にお薦めしたいか

 世の中のすべてのビジネスマンにお薦めしたいと思います。特段のIT知識がなくても、ビジネスモデルや戦略に関心があれば十分読める内容になっていますし、B2C業界の事例が多いので、特段のドメイン知識がなくとも十分読み進められます。

 DXとデジタル化の違いがピンと来ていない方にとっても、言葉の定義をどれだけ聞くより、このような事例の情報を大量に吸収することは大いに役立つと思います。

 また、自らの組織の価値提供の仕組を見直し、新しい価値創造にチャレンジしたい方には特におすすめです。

所感

 従来世界では価値提供と対価を交換する仕組みが限られており、実は購買支援、専門的アドバイスをしていたことが本質的価値だったにも関わらず、それは無料のサービスであり、対価は物販から得ていたという業態も多かったわけです。このような世界の常識に長く浸かっていると、自身の提供する本質的な価値を見失います。しかしその本質的価値をしっかり認識していないと、新しい世界でディスラプター(破壊的革新者)が生じた時に、自身のサービスを再構築できず、事業価値を失います。そのようなディスラプションを乗り越えたものだけが新しい世界に価値を引き継ぐことができるということです。このようなことを、前半のPart1では、改めて思い起こさせてくれました。これら本質的価値を考える力は、自社のビジネスモデルを再構築する上でも、顧客に新しい価値を提供するにも非常に重要です。

 後半のPart2では、各業界ごとの事例が盛りだくさんで、かつ課題(ペイン)の解決のみならず、新しい価値(ゲイン)の提供をもたらすサービスを多く学ぶことができます。ドメインごとに語られているため、読者の方々にとっても、より自分事として理解しやすいのではないでしょうか。

 DXはITの話ではなく、ビジネスモデルであり、価値提供の仕組を考え直すジャーニーに他ならないということを、再認識させてくれる一冊です。

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(荒瀬光宏)

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