コロナ禍により、多くの企業がテレワークを推進し、消費者もネットで商品やサービスを購入するようになりました。つまり、オンラインシフトが加速したわけです。しかし、オンライントランスフォーメーションはまだ十分に進展していません。
えっ?それ、何が違うの?と思われる方も多いことでしょう。
オンラインシフト
オンラインシフトとは、これまでリアルで実施していた会議やセミナー、イベント、資料作成などを、そのままオンラインに移行するイメージです。
リアルで問題なく行えていたことをオンライン上で“横展開”すると、不便や手戻りが多発します。そのため、「早く元のリアルな環境に戻りたい」と感じる方が多いのも頷けるでしょう。
オンライントランスフォーメーション
その一方で、オンライントランスフォーメーションとは、オンラインを前提に本質的な欲求や価値を再設計し、仕組みを再構築することです。つまり、リアルで行っていた業務を横展開するのではなく、新たに作り直すということです。
これにより、デジタル環境だからこそ実現できる機能を数多く提供できます。例えば、社内研修においては:
- その場で理解度テストを瞬時に実施し、結果に応じて次の内容に進める
- クイズやスコア大会で参加者の参画意識を高める
- 研修後もグループワークをオンラインで継続し、思いついたアイデアを随時追記できる
かつて模造紙やホワイトボードに頼っていた時代には難しかった、研修中だけでなく研修後もシームレスにコラボレーションを続けられるのです。また、研修の評価や報告書作成も従来以上の効率で行え、紙の成果物とは異なるアウトプットのあり方を再考する必要があります。
これらはあくまで一例に過ぎませんが、すべての業務において「オンラインシフト」と「オンライントランスフォーメーション」には大きな差があります。私たちはオンライントランスフォーメーションを実践し、一度オンラインに最適化された仕組みを構築したら、アナログの世界には戻れなくなるでしょう。
この関係性は、「デジタルシフト」と「デジタルトランスフォーメーション」の違いと同じ位置づけです。トランスフォーメーションの重要性を理解することが、次世代の社会での競争力向上の第一歩となります。
執筆者:デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役 DXエバンジェリスト 荒瀬光宏|荒瀬光宏 プロフィール
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