2021年7月、ジェフ・ベゾス氏の後任としてAmazon.com, Inc.の第3代CEOに就任したアンディ・ジャシー氏は、2005年のAWS立ち上げ以来、同社を世界最大のクラウドプロバイダーへと成長させた実績を持つリーダーです(Wikipedia)。本稿では、SIer業界への問いかけとその回答から、顧客本位の価値創造ポイントを解説します。
2014年のAWSとSIerの変化
2014年のre:Inventでは、AWSは単なるIaaS提供を超え、ユーザー自身がサービスを組み合わせて最適環境を構築できるプラットフォームを披露しました。当時、SIerはIaaSの構成設計を担っていましたが、その役割は次第にサービス化されつつありました。
私の質問とアンディ氏の回答
当時SIer業界で活動していた私は、ラスベガスのre:Invent会場でアンディ・ジャシー氏に次の質問を投げかけました。
「AWSが今後サービスを増やし続ければ、AWSを広めるSIer業界の仕事を脅かす可能性があります。これについては、どのように考えていますか?」
これに対しアンディ氏はこう回答しました。
「私たちはサービスを作り続けるしかありませんが、SIerは顧客に寄り添い現状を深く理解し、AWSを活用して課題を解決し、より深い価値を提供できる素晴らしい仕事です。その価値が失われることはない。」
SIerが価値を維持・拡大するポイント
- 顧客課題の本質把握:表層的要望ではなく業務プロセス全体を俯瞰して深掘り。
- AWS最新サービスのストーリー化:新機能を単に提供するのではなく、課題解決のシナリオを構築。
- 社内共有用フレーム作成:経営層や現場向けのチェックリスト・資料を整備し、DX担当者が説得力ある提案を実施。
これらを実践することで、SIerは単なる導入支援を超え、顧客にとって不可欠なDXパートナーとしての地位を確立できます。
執筆者:デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役 DXエバンジェリスト 荒瀬光宏|荒瀬光宏 プロフィール
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