サーベルタイガーの環境適応から学ぶ教訓
ネコ科の猛獣で、約10万年前に絶滅したサーベルタイガーは、当時ライオンと並ぶ食物連鎖の頂点に君臨していました。主に巨大で動きの遅いマンモスなどを狩る彼らに必要だったのは、スピードではなく「破壊的な強さ」。長く鋭い牙は、獲物に深く突き刺して致命傷を与える優れた武器でした。
しかし、環境は急激に変化しました。人類の登場と集団でのマンモス狩猟により、マンモスが絶滅。それに伴い、サーベルタイガーを含む肉食獣は、より速い草食動物を狩る必要に迫られたのです。
動きが速い獲物に対応するには、従来の「破壊力」だけでは不十分。求められる「勝ち組の要素」は次のとおり変化しました:
- 群れでの狩猟能力
- 夜間視力の向上
- 俊敏なスピード
ライオンは群れで狩る戦略を磨き、暗闇に強い視力と静かに近づく技能を獲得して環境に適応しました。一方、サーベルタイガーは「破壊的な強さ」に特化しすぎたため、俊敏性や夜間視力を伸ばせず、逃げ足の速い獲物に追いつけないまま絶滅したと考えられています。
力強さを誇ったサーベルタイガーは、その牙の大きさゆえに機動性を犠牲にしました。新たな「勝ち組の要素」に最も近づける種が生き残る──これこそが、王者となる種とそうでない種を分けた要因ではないでしょうか。
企業への示唆:第四次産業革命における適応戦略
現在、企業は「第四次産業革命」と呼ばれる大きな環境変化に直面しています。この変化に対応するために不可欠なのは:
- 勝ち組の要素がどう変わるのかを把握すること
- あるべき姿を再定義し、何をどのように変革すべきかを明確にすること
- 現有のコアコンピタンスを活かし、いかに迅速に先手を打つか
歴史の進化から学び、自社に当てはめて考えることが、これからの競争力強化の鍵となるでしょう。
執筆者:デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役 DXエバンジェリスト 荒瀬光宏|荒瀬光宏 プロフィール
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