ITとデジタルの違いとは?「手段」と「目的」でわかる決定的な定義

「IT」と「デジタル」。日常的に使われる2つの言葉ですが、その明確な違いを説明できるでしょうか?
「どちらも同じような意味では?」と思われがちですが、ビジネスの現場において、この2つは「役割」と「目的」に決定的な違いを持っています。

本記事では、曖昧になりがちなITとデジタルの違いを比較表を用いて整理し、なぜDX(デジタルトランスフォーメーション)推進においてその使い分けが重要なのかを解説します。

ITとデジタルの決定的な違い【比較表】

「ITとデジタル、何が違うの?」と問われて、明確に答えられますか?
結論から言うと、現代のビジネスシーンにおいてITは「手段」、デジタルは「目的」という決定的な違いがあります。

本来、言語学上はIT(情報技術)とデジタル(アナログの対義語)に大きな優劣はありません。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる現在、その「使われ方」と「役割」は明確に区別されています。

項目 IT (Information Technology) デジタル (Digital)
役割・位置づけ 手段・ツール 目的・戦略
主な目的 業務効率化・コスト削減 価値創造・売上拡大
視点 作り手・管理者目線 利用者(ユーザー)目線
開発スタイル ウォーターフォール型
(計画通りに進める)
アジャイル型
(変化しながら進める)
図:ビジネスにおけるITとデジタルの違い

ITは「効率化」、デジタルは「価値創造」

前述の比較表を詳しく見ていきましょう。
これまでの「IT」は、コンピューターを活用して既存の業務プロセスを自動化したり、管理システムを運用したりする技術全般を指していました。これは「マイナスをゼロにする(不便を解消する)」アプローチと言えます。

対して「デジタル」は、テクノロジーを通じてシステム利用者の体験価値(UX)を高めたり、新しいビジネスモデルを創出したりするために使われます。これは「ゼロをプラスにする(価値を生む)」アプローチです。

デジタル=利用者目線に近いイメージ
ITは機能を提供し、デジタルは体験を提供する

言い換えれば、ITはシステムを動かすための「手段」であり、デジタルは顧客を動かすための「目的」です。

組織で用語の「共通認識」を持つことがDXの第一歩

多くの企業で「IT部門」とは別に「デジタル推進部」や「DX推進室」が新設されるのは、求められる役割とスキルセットが異なるためです。
従来のIT部門がシステムの安定稼働を重視するのに対し、デジタル部門は市場の変化に合わせて柔軟にサービスを構築することが求められます。

しかし、言葉の定義論争に時間を費やす必要はありません。最も重要なのは、「自社においてITとデジタルをどう定義し、どう使い分けるか」という共通認識を組織全体で持つことです。

「これは業務効率化(IT)の話なのか? それとも顧客価値の創出(デジタル)の話なのか?」
この問いを常に持ち続けることが、プロジェクトの成功につながります。

ITとデジタルの違いを理解した上で、さらに踏み込んで「デジタル」の本質的な意味や、「DX」の定義について深く知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

荒瀬光宏

株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所
代表取締役/DXエバンジェリスト
DX推進・企業変革の専門家。豊富な現場経験と実践知をもとにコンサルティング、企業研修、講演活動を行う。
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