「経営層向けDX研修」は、経営者・役員・幹部などマネジメント層が「DXとは何か」「なぜ今DXが求められるのか」「自社を取り巻く環境変化は何か」を集合形式でディスカッションしながら学びます。DXの基礎認識を揃えて上で、自社のDXビジョン(戦略の基本方針)の骨子を2〜3回のワークショップを通じて策定します。
DXの推進をDX推進部門や、情報システム部門に丸投げする状態になっていないでしょうか。DXは、トランスフォーメーション=変革です。企業の変革を進めるにはボトムアップだけでは限界があります。トップダウンで方針を示し、社員が動きやすい状態をつくってあげることがDX推進には不可欠です。
目次
「経営層向けDX研修」目的・到達目標
- 経営層がDXとは何か?DXの基本や背景について共通認識を持つ。議論のための共通言語を持つ
- 経営層自らがDXビジョンの骨子を策定し、全社に示せるようになること
- DX推進の前提となる外部環境・経営課題を整理し、「どの方向へ変革すべきか」を明文化できること
「経営層向けDX研修」対象者
- 経営層・役員・経営幹部(取締役、執行役員、グループ企業役員、事業本部長など)
開催例
- 全社の部長以上のマネジメント職40名。2回に分けて、20名×2回で開催。
- 本体およびグループ企業の役員層20名
- 企業の取締役、執行役員10名(少人数ディスカッション)
「経営層向けDX研修」の特徴
- DXビジョン骨子策定 — 戦略・ビジネスモデル・組織行動の方向性を明確化
- 少人数ディスカッション — 経営層同士で視点を共有しながら合意形成
- ワークショップ型集合形式 — 相互討議を深めるため対面を推奨(オンライン併用可)
「経営層向けDX研修」担当講師

経営層向けDX研修講師:荒瀬光宏
荒瀬光宏(株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役/DXエバンジェリスト)
慶應義塾大学法学部、グロービス経営大学院、日本政策学校卒。日本初のDX専門研究機関である株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所創設者。国内外の多くの企業および地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を研究してきた立場から、DX成功の要諦について実践的なノウハウを所有する。組織の5年後、10年後の環境認識をベースに将来のあるべき姿、経営戦略を検討し、その戦略を実現できる組織体制、文化、マネジメントへの変革を図る全社変革プロジェクトを得意とする。
「経営層向けDX研修」実施要項(期間/形式)
- 開催回数:2~3回
- 形式:リアル推奨(オンライン併用可)
- 定員:20名程度(4-5グループ想定)
「経営層向けDX研修」プログラム解説
DXの基本解説
最初に、DXの基本の解説を行います。経営層メンバーで「DXとは何か?」「なぜDXが必要なのか?」の共通認識、共通言語をつくります。
一部、経営層向けDX研修テキストの内容を抜粋してご説明します。
DXとは何か

経営層向けDX研修解説資料(DXとは何か)
まず、DXの基本のキ、用語の本質を理解することが重要です。DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語です。DXは、IT(Information Technology:情報技術)の狭い文脈だけで捉えられることも少なくありません。しかし、DXでより本質的なのはトランスフォーメーション、変革です。デジタル時代の大きな環境変化を踏まえ(背景)、デジタルを最大限に活用した(手段)、企業変革(目的)がDXです。
DXのX:トランスフォーメーション

経営層向けDX研修解説資料(DXのX:トランスフォーメーション)
次に、DXのXトランスフォーメーション、変革です。変革とはなんでしょうか?例えば、カイゼンと変革の違いはなんでしょうか。デジタルトランスフォーメーション研究所では、変革とカイゼンの違いを次のように定義しています。ビジネスの課題解決では、あるべき姿(TOBE)を定義、現状(ASIS)を分析し、そのGAPを埋めていくのが基本です。これはカイゼンに当たります。では、変革とはなんでしょうか?変革とは、あるべき姿自体を定義し直すことです。デジタル時代の環境変化に合わせて、企業の目指す姿自体の再定義が必要になります。その定義し直した変革目標(DXビジョン)に向けて、戦略の変革、組織の変革などを行う必要があります。
業界の変化
DXの基本に続いて業界変化について解説します。以下は、小売業界の業界事例です。
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経営層向けDX研修解説資料(業界の変化:小売業界)
Amazonというプラットフォームの出現により、小売業界にどんな業界破壊(ディスラプション:Disruption) が起きたのかを解説しています。上記のような汎用的な業界の変化に加えて、お客様業界(またはお客様業界に近い業界)のDX事例を解説して、理解を促進します。
DXビジョン骨子作成

経営層向けDX研修用テンプレート(DXビジョン骨子)
ワークショップでは、DXの共通言語を前提に、グループワークと全体ディスカッションにより全社(または事業ごとの)DXビジョン骨子を作成します。
STEP1:現状分析
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経営層向けDX研修テンプレート(DXビジョン骨子:現状分析)
まず、現状分析を行います。一つは企業の上位目的の確認です。上位目的とは、企業理念など(ビジョン・ミッション、パーパス)です。DXの現状分析で企業理念を分析することはピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、デジタルトランスフォーメーション研究所では、様々な企業のDXビジョン作成に携わった経験から、DXにおいて企業理念の再確認が重要であると考えています。
例えば、製造業が、社会貢献やお客様の幸福を理念として謳っていてもモノの提供だけでは、一人一人の従業員には、実感が得にくいものです。デジタルの文脈でコトまで考えることでより企業理念が具体化しやすくなります。DXは、本来の本質的企業理念の実現手段でもあります。
二つ目は、環境変化です。DX自体の外部環境の変化、および業界環境の変化を認識します。なお、デジタルトランスフォーメーション研究所では、環境分析でT2Cという枠組みを推奨しています。興味のある方は、以下のページを参照ください。参考ページ:環境分析フレームワーク総ざらい:PEST・3C・SWOT・T2C
上位目的と環境変化を元に、分析のサマリ、自社への示唆を整理します。この分析サマリを参考にして次の戦略方針の検討ステップに移ります。
STEP2:戦略方針
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経営層向けDX研修テンプレート(DXビジョン骨子:戦略方針)
現状分析を踏まえ、戦略方針を検討します。戦略方針の分析では、企業のお客様への提供価値を「Who(誰に)、What(どんな価値を)、How(どのように)」の枠組みで整理します。3つの中でこの中でWhoとHowは具体的イメージがしやすく比較的整理して共通認識が持ちやすいものです。しかし、Whatは共通認識が弱い、文字に起こされていないことが多いものです。顧客への具体的な提供物、提供サービスが何かは認識がしやすいものです。ここでは、自社が提供しているモノ、サービスにより本質的な顧客提供価値は何かを改めて考えます。また、DXでは、既存の提供価値だけではなくデジタルならではの「新たな提供価値」を検討したいところです。 また、括弧で、戦略変革方針とあります。Who,What,Howは現状分析を踏まえて、目指すべきあるべき姿です。ここで過去のWho,What,Howと大きく異なる場合は、戦略変革となります。過去の戦略と方針を変えるためにやるべきことも出てきます。
上記のWho,What,Howは顧客へどんな価値を届けるかの整理でした。顧客へ提供価値を届けるための自社内での実現方法や仕組みを考える必要があります。ここでは、変革に必要なポイント、目標を簡単に整理しておきます。
STEP3:組織変革方針
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経営層向けDX研修テンプレート(DXビジョン骨子:組織変革方針)
STEP2の戦略方針を実現するために、今度は組織変革が必要です。大きく「ヒト(スキル・風土)」「マネジメント・組織形態」「データ利活用、業務プロセス」の視点から組織変革の基本方針、組織のあるべき姿を整理します。
STEP4:コンセプト、キャッチフレーズ作成
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経営層向けDX研修テンプレート(コンセプト)
最後に、企業が目指すDXビジョンのコンセプトをまとめます。DXは変革であり、一人一人の意識変容が必要です。社員へ変革コンセプトをわかりやすく伝える必要があります。覚えやすいキャッチフレーズを付けることが望ましいです。
組織変革方針
DXビジョン骨子を作成したあとは、組織変革方針の課題と解決策を考えます。ワークシートのテンプレートを次に掲載します。
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経営層向けDX研修テンプレート(組織変革方針:課題と解決策の整理)
DXビジョン骨子ワークショップで作成した組織変革方針はあるべき姿です。このあるべき姿を実現するために、課題を洗い出し、解決策を検討することが必要です。経営層向けDX研修では、詳細な施策を検討する前に、経営層、幹部層で組織変革実現のための大きな課題認識、解決策の方針を摺り合わせます。
DX研修のお問い合わせ
DX研修のご相談は、こちらの専用フォームよりお気軽にご連絡ください。
依頼内容が固まっていない段階のご相談も歓迎です。「何から始めるべきか」「どの層から着手するべきか」「社内の温度差をどう埋めるか」など、現状の整理から壁打ち相手として伴走します。ヒアリング後、最適な進め方・対象・期間のたたき台をご提案します。