「DX推進リーダー研修」は、実テーマを使って価値創造型のDX企画、新規事業ビジネスプランを立案するワークショップ型研修です。
グループワーク中心の高い実践性が特長で、ケーススタディやサンプルではなく自社にとって本当に価値ある企画を策定します。最終日には役員や社長の前でプレゼンテーションを行う機会を設けます。
必要に応じてグループ単位のメンタリング支援も用意し、経験豊富な講師がDX企画の伴走を行います。
目次
「DX推進リーダー研修」の特徴
- 実テーマ重視 ― 事業に直結する課題を扱うことで参加者の意欲が高まります。
- 役員前プレゼン ― 成果を意思決定層に直接提示しフィードバックを得ます。
- グループワーク ― 部門横断で協働しながらDX企画を具体化します。
- メンタリング(任意) ― 成果重視の観点から個別支援を提供します。
「DX推進リーダー研修」実施要項(期間/形式)
- 期間:3回から6回(から程度)
- 形式:リアル、またはオンライン※ リアル/オンラインの選択制ですが、対話とネットワーキング効果を高めるためリアル受講を推奨します。開催回によりリアルとオンラインを組み合わせて行う場合もあります。
「DX推進リーダー研修」担当講師

株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役 荒瀬光宏
荒瀬光宏(株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役/DXエバンジェリスト)
慶應義塾大学法学部、グロービス経営大学院、日本政策学校卒。日本初のDX専門研究機関である株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所創設者。国内外の多くの企業および地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を研究してきた立場から、DX成功の要諦について実践的なノウハウを所有する。組織の5年後、10年後の環境認識をベースに将来のあるべき姿、経営戦略を検討し、その戦略を実現できる組織体制、文化、マネジメントへの変革を図る全社変革プロジェクトを得意とする。
プログラム解説:新規事業ビジネスプラン作成プロセス
新規事業ビジネスプラン検討プロセスに沿って、ビジネスプランを作成します。

新規事業ビジネスプラン検討プロセス
Step1.事業機会探索
ステップ1は事業機会探索フェーズです。個別の企画アイデアを考える前に、DX環境分析により自社の事業機会を整理します。
DX環境分析のステップ

DX環境分析フレームワークの分析プロセス(T2C→SWOT)
T2C→SWOT→クロスSWOTの順で環境分析フレームワークを活用します。
DX環境分析の理論背景を知りたい方は:「DX環境分析フレームワークとは?――PEST・3C・SWOTからT2Cまで使い方を徹底解説」をご覧ください。T2C、SWOT、クロスSWOTの理論背景とやり方を事例も含めて解説しています。
1-1.情報収集:T2C分析
T2C分析で情報収集を行います。T2Cは、Technology、Customer、Companyの略で環境分析フレームワークPEST分析(外部環境)、3C分析(業界環境)からDX時代に必要な3つの重要項目をピックアップしたフレームワークです。リサーチ、分析対象を3つに絞ることで簡易に深い分析が可能となります。情報収集には、ChatGPT、Geminiなどで「Deep Research」を使うこともおすすめです。参考に講師からリサーチプロンプトも提供します。
1-2.情報解釈:SWOT分析 →クロスSWOT分析
T2Cの項目をSWOT(Strength:強み、Weakness:弱み)と外部要因(Opportunity:機会、Threat:脅威)に分類します。次のクロスSWOT分析で解釈しやすいように、各項目には、O1,O2のように番号を付けておくことがおすすめです。
SWOTで分類した項目をクロスSWOT分析で解釈し、W×O(弱み×機会)、示唆を引き出します。クロスSWOT分析は、「S×O(強み×機会)」「S×T(強み×脅威)」「W×T(弱み×脅威)」のように情報を掛け合わせる(クロスさせる)ことで、事業機会の大きな方向性を引き出しやすくするフレームワークです。新規事業では、特に「強み×機会」に着目します。
DX環境分析テンプレート(T2CとSWOT分析)
DX環境分析ワークショップでは、次のワークショップテンプレートを利用します。

DX環境分析シート(T2CとSWOT分析)
Step2.顧客課題設定
事業機会の分析結果を参考にしつつ、今後新規事業プランを検討するための企画テーマ案を設定します。
2-1.DX企画テーマ案設定テンプレート(ジョブ・顧客課題・ペルソナ)
DX企画テーマ設定では、次のワークショップテンプレートを利用します。
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DX企画テーマ案設定シート(ジョブと顧客課題仮説)
「誰の」「どんなジョブの」「どんな課題」という枠組みで、DX企画テーマ案を設定します。テーマ設定の時点では、解決策・ソリューションは検討せず、顧客課題仮説にフォーカスします。 また、顧客課題の解像度を上げるために、ペルソナ(ターゲット顧客のうち特定の具体的な人物像)を想像して記入します。 DX企画テーマ案は、グループごとに1つ選択します。事前に個人ワークで1人1つ程度のテーマアイデアを出したうえで、ワークショップでまとめます。
2-2.顧客課題の分析(カスタマージャーニー)
カスタマージャーニーマップでは、次のワークショップテンプレートを利用します。
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カスタマージャーニーマップ ワークシート
顧客課題の分解、深掘りは次のステップで行います。
- 顧客体験の分解と可視化
顧客課題深掘りの出発点は、課題の分解です。顧客体験を5つ程度のフェーズに分解します(例:課題認識>調査>比較>購入>継続利用)。各フェーズでの顧客行動を箇条書きで数件記載します。このときの「顧客行動」は、”顧客視点での観察可能な事実”を記入します(目に見える客観的で具体的な行動)。 - ジョブ仮説設定
フェーズごとに顧客行動から想定されるジョブ(成し遂げたい進歩)仮説を設定します。企画テーマ案に比べ、より特定の具体的シチュエーションを意識したジョブを設定します。 - ジョブ上の課題仮説設定
フェーズごとのジョブに対応して、ジョブを成し遂げるための課題(Pain、顧客の不満)の仮説を記載します。 - 重要な課題の選定
ジョブと課題を「課題の大きさ×自社が取り組む意義」の2軸でマッピングし、特に重要な課題を選定します。
サービスコンセプト設定ワークシート(価値提供フレームワーク)
サービスコンセプトの設定では、次のワークショップテンプレートを利用します。
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サービスコンセプト設定ワークシート(価値提供フレームワーク)
サービスコンププトの作成は次のステップで行います。
- 重要なジョブと課題の選定
顧客課題の分解と深掘りで選定した重要なジョブと課題、顧客の行動を記載します。 - 課題原因の特定
ジョブ上の課題を実現するうえでの課題の原因、背景を記載します。表面的な現象の裏で、「なぜそれが起こるか?」を考察します。 - 解決策の検討
課題を解決するための解決方針とその具体策を記載します。解決方針は、個別の具体策ではなく、解決策の大方針、原理・方向性を記載します。具体策では、リアル・デジタルの2つの側面で記載します。 - サービスコンセプト
課題と解決策を踏まえ、要は「誰に、どんなときに(利用シーン)、どんな価値を提供するサービスか」を一言でまとめます。
Step3.ビジネスプラン作成
3-1.ビジネスプラン概要作成(リーンキャンバス)
ビジネスプラン全体像を網羅性高く記載するためリーンキャンバスを作成します。
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リーンキャンバステンプレート
リーンキャンバスは、以下の番号の順番で記載していくのがおすすめです。
- 顧客の課題
- 顧客セグメント
- 独自の提供価値
- ソリューション
- チャネル
- 収益の流れ
- コスト構造
- 主な指標
- 優位性
これまでのワークで大半の項目が埋められるはずです。ここでは、特に、⑥収益の流れ、 ⑦コスト構造、⑨優位性を重点的に検討します。
なお、リーンキャンバスについては、解説記事「リーンキャンバスとは?9ブロックの意味と書き方・順番【DX企画・新規事業に活かす】2025年版」もあわせて参照ください。
3-2.ビジネスプラン詳細化
これまでの検討をまとめてビジネスプランを作成します。新規事業ビジネスプラン8つの基本項目を網羅してプレゼンテーション資料として仕上げます。
- 概要(Overview)
- 機会(Opportunity)
- 問題(Problem)
- 解決策(Solution)
- 顧客または市場(Customer or Market)
- 競合(Competition)
- 収益モデル(Revenue Model)
- 事業成長ストーリー(Story)
生成AI活用:DX時代のビジネス課題解決ノウハウ
DX推進リーダー研修では、効率的に質のよいビジネスプランを作成するためChatGPT、Geminiなどの生成AIを積極的に活用します。プロセスごとに講師から生成AIの活用デモ、プロンプトサンプル提供などを行います。DX時代の企画には必須となる、生成AIを使った経営理論、戦略フレームワーク活用のポイントをお伝えします。ITスキル系の生成AI研修だけでは身につかない、「ビジネス課題解決における生成AI活用の実践的ノウハウ」を実践を通じて学びます。
DX推進リーダー研修での生成AI活用場面
業界リサーチ
T2C分析の情報収集に、ChatGPT、Geminiなどの「Deep Research」を活用します。業界リサーチ例、講師がリサーチに使ったプロンプトサンプルを提供します。生成AIの活用により、短期間で質の高いリサーチが可能です。
ペルソナ作成
テーマに沿ったペルソナ作成に、生成AIを利用します。ペルソナ作成での生成AIの活用は非常に有用です。テーマの定まりきっていない初期段階で複数枚の詳細なペルソナ候補を作成できます。
カスタマージャーニー作成
生成AIにカスタマージャーニー候補を複数作成させます。最もしっくりくるカスタマージャーニーを元にグループワークで深掘りします。
バリュープロポジションキャンバス、リーンキャンバス案作成
これまでの成果をインプットしたうえで、バリュープロポジションキャンバス、リーンキャンバスの原案を出力させます。
ビジネスプラン作成に生成AIを活用すべき理由
- ・圧倒的なリサーチ効率
Deep Researchのリサーチ力はリサーチ会社の10年目のアナリストと同等と呼ばれています - ・経営フレームワークの理解力が高い
ジョブ理論、バリュープロポジションキャンバス、リーンキャンバスなど生成AIは汎用的な経営フレームワークを一通り理解しています。生成AIを使うことでロジックの通った精度の高い分析原案が作れます - ・顧客解像度を高められる
ペルソナ、カスタマージャーニーなど網羅性の高い詳細な原案が出力できます。これは、生成AIが世の中の汎用的なペルソナ、カスタマージャーニーをすでに学習しているからです。人が行うと2,3個作成するのが限界です。しかし、生成AIを使うと10,20個という大量の原案を入手できます。初期テーマの振れが起きやすく、途中での方向転換も多い新規事業プランでは特に有効です。
DX研修のお問い合わせ
DX研修のご相談は、こちらの専用フォームよりお気軽にご連絡ください。
依頼内容が固まっていない段階のご相談も歓迎です。「何から始めるべきか」「どの層から着手するべきか」「社内の温度差をどう埋めるか」など、現状の整理から壁打ち相手として伴走します。ヒアリング後、最適な進め方・対象・期間のたたき台をご提案します。