DX戦略は、再現性のあるDXフレームワークで思考を構造化することが重要です。本ページは、デジタルトランスフォーメーション研究所の5記事を要約し、DX 戦略とDX フレームワークの要点を短時間で俯瞰できるよう再整理しました。まずは関心の高いテーマからお進みください。
目次
DX時代の経営資源シフト:ヒト・モノ・カネ → データ・コト・ジカン
古典的な三大経営資源(ヒト・モノ・カネ)は土台として重要であり続けますが、情報化・第四次産業革命の進展でデータが三資源の生産性を押し上げる中核となりました。企業価値の源泉が有形から無形へ移る流れも踏まえ、DX時代の拡張概念としてデータ・コト・ジカンを整理します。
データは暗黙知の形式知化と再利用、コトは製品から体験への価値転換、ジカンは ROT (Return on Time) や学習サイクル短縮によるアジリティの確保を指し、既存資源を乗数的に強化します。
環境分析フレームワーク総ざらい:PEST・3C・SWOT・T2C
戦略は「診断→基本方針→行動」の構造で機能します。起点となる環境分析を、PEST(外部の潮流)、3C(顧客・自社・競合)、SWOT(内外要因の統合)で整理し、DX文脈では Technology の比重が高い点を押さえます。
さらにT2C(Technology/Customer/Company)を用いて「変化すること/変化しないこと」を並行整理し、クロスSWOTで戦略仮説に接続する流れを解説しています(テンプレートと記入例つき)。
リーンキャンバス:DXの価値仮説を1ページで設計・検証
環境分析で得た示唆を、検証可能な仮説とアクションに落とし込むフレームワークがリーンキャンバスです。1ページ・9ブロック(顧客/課題/独自の価値提案/解決策/チャネル/収益/コスト/主要指標/圧倒的優位性)で前提とリスクを可視化し、短いサイクルで更新します。
記事では、ビジネスモデルキャンバス(BMC)との違いと記入の考え方、現場で扱いやすい書き順のヒントを解説。環境分析の直後に置くことで、DX戦略の「仮説→検証」へと橋渡しできます。
鳥の目・魚の目・虫の目──3段階の視座でDX課題を捉える
鳥の目(俯瞰・絶対位置)・魚の目(流れ・潮目)・虫の目(現場・改善)の3視座を往復させることで、部分最適や近視眼を避け、戦略と実行の整合を維持します。
記事では、虫の目に偏るリスクや、目指す姿と物差しの定義、時流を読む重要性を具体的に説明し、DX推進での実践的な使い分けを示しています。
第四次産業革命とKSF:高速PDCAで顧客価値を創る鍵
第四次産業革命の本質は「現実の事象をデータ化し、瞬時に処理・判断し、現実へアクションを返す」能力の飛躍にあります。ゆえに勝ち筋は、データを活用して顧客体験価値を高速に改善し続けるメカニズムの構築へ収れんします。
記事では、産業革命の通史を踏まえつつ、KSFの定義とその背景を体系的に解説しています。
まとめ
5記事をつなぐと、資源の再定義 → 環境診断 → リーンキャンバスによる仮説設計 → 多視点での評価 → KSF設計という流れが見えます。本ページで俯瞰したうえで各記事に進み、DX 戦略の具体化に役立ててください。

株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所
代表取締役/DXエバンジェリスト
DX推進・企業変革の専門家。豊富な現場経験と実践知をもとにコンサルティング、企業研修、講演活動を行う。
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