みなさん、ご無沙汰しております。今回はNFTコンテンツの販売体験を皆さんと一緒に順を追って体験するシリーズです。ブログのコメント欄に寄せられる皆さんのご意見を拝見しながら、時系列に沿って進めていきたいと思います。
NFTコンテンツの販売を体験することの価値
最近のコーギーさんのNFTのブログに触発され、以前から挑戦したかったNFTコンテンツの販売を自分で実践してみようと思いました。現在は2022年6月なので、アーリーアダプターとしては若干遅いと言われるかもしれませんが、以下のような理由があります。
- 昨年秋から執筆中のDX入門本が佳境を迎えていたため
- NFTやWeb3は、他の注目すべきDX技術と比べると、多くの組織にとって「まだ時期尚早」と考えられていたため
- NFTを購入して再販する手順は多くの情報があるものの、自ら新規販売する際には疑問点が多く、手探りになってしまうため
しかし、コーギーさんのブログや近森満さんの音声メディア、伊藤穣一さんのPodCastを聴くうちに、「やはり自分で体験すべきだ」と強く感じるようになりました。私はDX講座や研修で常々、新しい技術は自ら体験しないと本質は理解できないとお話ししています。評論家のように表面的な良し悪しを指摘するのは簡単ですが、両面を理解して初めて真の価値を掴むことができるからです。
暗号資産や仮想通貨には確かに課題がありますが、それでも多くの人の注目を集めるのは、そこに本質的な価値が見え隠れしているからだと思います。また、ブログやSNSが登場した際も、未体験の人に説明するのは困難を極めました。いかに外部情報を学んでも、自ら体験すること以上の理解は得られないと感じています。
このように「体験しないとわからない」という観点から、NFT以外にもぜひ自ら触れていただきたいデジタル技術を以下にまとめました。
- VRゴーグル
- ロボティクス技術
- ドローン
- スマートウォッチ
- AR
- メタバース
上記はいずれも手軽に体験できる環境が整っています。まずは気になるものから順番に挑戦してみましょう。具体的な体験方法についてニーズがあれば、また別の機会に詳しくご紹介します。
疑問点1:まず何を販売するべきか?
最初に直面する疑問は「まず何を販売するべきか?」です。みなさんなら何を販売しますか? NFTで実際に販売されているコンテンツと言えば、デジタルアート(2次元、3次元)や音楽など、「複製可能だけど、今までコピーされても何も対抗できなかったもの」が多く、従来の世界観で物を出品する概念とは大きく異なります。
これまで検討した販売候補は以下の通りです。
- オリジナル絵画
リアルに存在するものをNFT化するのは可能ですが、本質から外れる気がして却下。 - エリック教授のDX論文(デジタル原稿)
著作権を私自身が保有しておらず、初めての実験には不適切。 - 写真・動画の加工コンテンツ
個人所有物だけで完結しますが、素人コンテンツでは買い手がつきにくいと判断。
弊社YouTubeなどでお馴染みのDXあるあるイラストの例
次に考えたのが、弊社YouTube「DXあるある実践シリーズ」で登場するDXあるあるイラストです。プロのイラストレーター日高由美子さんに2020年に制作を依頼し、DX事例によくある失敗を戒める目的で作成したもので、大変好評でした。昨年はカレンダーにも活用しています。
弊社が著作権を保有しているため、今朝日高さんに再度ご連絡し、NFT化の許可を取得済みです。全15種類あるこのシリーズをバラ売りすれば、どの作品が人気か測定できる点にも大きな面白さを感じています。
疑問点2:販売するのは何権なのか?
ここで気になるのは、何権を販売するのかということです。著作権、所有権、利用権、使用許諾権など、一体どの権利を売ることになるのか明確ではありません。ただ、著作権そのものではなさそうです。著作権は著者が本来保持する権利で、改変や販売など自由度が高いものですが、NFT販売で著作権そのものを移転するという話はあまり聞かれません。
NFTコンテンツは2次流通可能なことが特徴の一つです。移転可能な権利という観点では、所有権を販売するイメージが最も近いと考えられます。もちろん、利用権や使用許諾権を設定することも可能ですが、期限付きの利用権では2次販売の対象に適さないため、所有権の販売が適切ではないかと感じています。
この点については、実際の販売準備を進めながらさらに検討し、明確化していく予定です。もし専門家の方など詳しいご意見がありましたら、コメント欄でぜひ教えていただけると嬉しいです。
参考にした専門家ブログ:
疑問点3:いくつ販売するべきなのか?
次に直面した問題は、「いくつ販売するべきか?」です。リアルな骨董品やチケットなら1点で完結しますが、デジタルコンテンツは1点でも100点でも1億点でも発行可能です。しかし、もし最初に「1点限定」と宣言しておきながら後から追加発行してしまったら、最初の購入者は詐欺のように感じるでしょう。
販売数は最初に決めて変更してはいけません。物理製品なら増産も自由ですが、デジタルでは“発行上限を無限大”とすると価値は希薄化します。特にNFTでは取引手数料がかかるため、価値が低いものは市場に流通しにくくなります。
そこで私は「ビッド(競り)方式での販売」を前提に考え直しました。定価制で無限発行すると二次流通市場が成立しないため、数量を限定し、自由相場制で価格が上下する仕組みにするのが本質に近いと考えています。
では具体的に何点にするか。リアルの版画作品では通し番号付きで100点限定などが定番です。デジタルであれば制約はなく、1点から何億点でも設定可能ですが、希少性を担保するためには「適度な上限」が必要です。CryptoPunksのように一つひとつを唯一無二にして高いプレミアムを生む手法もありますが、私はアーティストではないため、まずは過度にならない数量を選びました。
結論として、シリーズ全15種類のイラストそれぞれ100点限定、合計1,500点の発行とします。仮に1点1万円で完売すれば1,500万円の売上となり、次の展開への資金にもなります。
夢が広がりましたが、いつまでも考えているだけでは前に進めません。ここからは具体的な販売手順へ移ります。
執筆者:デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役 DXエバンジェリスト 荒瀬光宏|荒瀬光宏 プロフィール
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