DXを進めるには、DXフレームワークで考えを整理することが役に立ちます。本記事では、デジタルトランスフォーメーション研究所の9記事をまとめ、DXフレームワークの全体像を短時間でつかめるようにしました。まずは自社の目的に近いテーマからお読みください。
基礎と視座のDXフレームワーク
デジタイゼーション/デジタライゼーション/DX(3段階フレームワーク)
デジタル化の3段階(デジタイゼーション → デジタライゼーション → DX)を整理した考え方です。紙やアナログの情報をデータにする段階、業務のやり方を見直す段階、事業や提供価値まで作り変える段階を区別します。三つを混同すると期待と成果がずれるため、まず自社がどの段階にあるかをはっきりさせることが大切です。段階が決まると、選ぶDXフレームワークと次の一歩が明確になります。
デジタルトランスフォーメーションとは?DXの意味をわかりやすく【2025年版】
DX時代の経営資源シフト(ヒト・モノ・カネ → データ・コト・ジカン)
ヒト・モノ・カネを土台に、データ・コト(体験)・ジカンを重ねて価値を高めます。データは知見の再利用を広げ、コトは体験として選ばれる理由になり、ジカンは学びの速さや回収サイクル(ROT)の改善につながります。この記事では、この枠組みで資源配分を見直す視点が示されています。自社の強みをいかしつつ、どこに時間と投資を寄せるかを考える助けになります。
「ヒトモノカネ」フレームワークとは?DX時代の経営資源シフトも解説
部分最適と全体最適
DX推進では、部門ごと(部分最適)と全社(全体最適)の視点のズレが問題になりがちです。この記事では、なぜ「部分最適の罠」に陥るのか、その原因をDXの3段階モデル(デジタル化とDXの違い)の視点から整理し、全体最適へ移行するためのポイントを解説します。自社の取り組みが局所的になっていないか確認できます。
鳥の目・魚の目・虫の目フレームワーク
全体を見る鳥の目、流れを見る魚の目、現場を見る虫の目を行き来して、判断のかたよりを防ぎます。鳥の目で「目指す姿」と物差しを合わせ、魚の目で時流やタイミングをとらえ、虫の目でボトルネックや具体策を押さえます。三つの視座をそろえると、方針と実行のズレが小さくなります。この記事では会議や振り返りでの使い方のヒントが紹介されています。
第四次産業革命とKSF
第四次産業革命以降は、データを「集める→分析→現場で試す→再び集める」という循環を速く回す力が競争力になります。個別の技術を入れるだけでは足りず、循環が滞りなく回る仕組みづくりが要点です。この記事では、この循環を支えるKSF(Key Success Factor)を整理しています。顧客体験を継続的に高める道筋を、運用の視点でとらえ直せます。
第四次産業革命とKSF解説―データ×高速PDCAで顧客価値を創る
戦略づくりと実行のDXフレームワーク
DX戦略の立て方(3ステップ策定プロセス)
DX戦略の策定プロセスを実践的な3ステップ(現状分析→戦略策定→組織変革方針)で解説します。マネジメント層が主体となり、現状分析から具体的な戦略(Who/What/How)、組織変革までを一気通貫で設計する流れをつかめます。
DX戦略の立て方とは?マネジメント層向け実践3ステップと策定プロセスを解説
環境分析フレームワーク:PEST・3C・SWOT・T2C
外部の変化(PEST)、顧客・自社・競合(3C)、強みと弱み(SWOT)を順に整理して、考えを形にします。DXの前提ではTechnologyの重みが増すため、T2Cで「変わること/変わらないこと」を並べて確認します。この記事には基本手順やテンプレートの案内があり、クロスSWOTで優先度を決めるところまで見通せます。診断から戦略仮説へつなぐ標準の流れがつかめます。
DXの環境分析フレームワークを解説 ―PEST・3C・SWOT・T2C・5F
リーンキャンバス:DXの価値仮説を1ページで設計・検証
リーンキャンバスでは9ブロック(顧客、課題、独自の価値提案、解決策、チャネル、収益、コスト、主要指標、圧倒的優位性)に前提を書き出します。一枚でビジネスプランの全体像が見渡せるので、抜けや重なりに気づきやすく、仮説検証結果に合わせすばやく更新できます。この記事では、ビジネスモデルキャンバスとの違いやDX新規事業検討に使いやすい考え方が示されています。環境分析の直後に使うと、仮説から実験へ進む道筋がはっきりします。
リーンキャンバスとは?9ブロックの意味と書き方|DX企画に活かす
新規事業創出のプロセスとフレームワーク:探索→課題設定→ビジネスプラン
DXで価値創出を行ううえで、新規事業アイデアを探索し、課題を設定しビジネスプランを作成するための流れをわかりやすくまとめています。事業機会探索では環境分析とSWOTで機会導出、課題設定では顧客の理解から出発し、最後はビジネスプランに落とし込みます。この記事では各段階で見るべきポイントとフレームワークの使いどころが整理されています。リーンキャンバスで立てた仮説を次の行動につなげやすくなります。
問題解決のプロセス:What→Where→How
問題解決プロセスの基本と実務活用のポイントを解説します。生成AIを活用したワークショップ例も紹介します。問題解決×生成AIは有効な汎用的ビジネススキルです。
まとめ|自社に合うDXフレームワークを見つける
本記事では、DX推進の土台となる「基礎と視座」、具体的な「戦略づくりと実行」の2つの側面から、役立つDXフレームワークを整理しました。自社の課題や目的に応じて、これらのフレームワークを選択・組み合わせてご活用ください。
DXの推進には、こうしたフレームワークの知識を組織に定着させ、実践できる人材を育てることが不可欠です。デジタルトランスフォーメーション研究所では、DXの本質を学び、AIを活用した問題解決までを体験する「DX研修サービス」を提供しています。DX基礎研修から経営層向けDX研修、DX推進リーダー研修まで、目的に合わせたプログラムをご用意していますので、ぜひご覧ください。

株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所
代表取締役/DXエバンジェリスト
DX推進・企業変革の専門家。豊富な現場経験と実践知をもとにコンサルティング、企業研修、講演活動を行う。
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