そもそもDX研修とは何か

DX研修とは、企業が デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進できる人材 を体系的に育成するための社内教育プログラムです。
従来の IT スキル習得講座にとどまらず、戦略立案から組織運営まで「ビジネス変革を実現する力」を身につける点が特徴です。

従来のIT研修との違い

従来の IT 研修 DX 研修
システム/ツール操作の習得が中心 ビジネスモデル変革・組織変革まで視野に入れる
個々の担当者スキル向上が目的 部門横断で「共通言語」と「推進体制」を形成
受講後は現場任せになりがち 研修内でプロジェクト案を作り実装フェーズへ接続

社会的背景 ― DXが“待ったなし”になった理由

以上の背景から、単なるITツール導入ではなく「顧客価値の再定義」「業務・組織・人材の再設計」まで踏み込むDXを推進できる人材育成=DX研修が、企業の持続的競争力の前提になっています。

なぜ研修がDX推進成功のカギとなるのか

  1. スキルギャップの解消
    ・<基礎層>「DX とは何か?」を学び共通言語を作ることで、現場の抵抗感を低減。
    ・<リーダー層> 新価値創造のためのビジネス課題分析やアイデア発想法を習得し、実践へ橋渡し。
  2. プロジェクト創出の触媒
    自社課題を題材にワークショップを行い、研修直後にDXアイデア → DX企画案 → 社内提案 まで持ち帰れる。
  3. 経営層コミットメントの醸成
    経営トップが研修で DX ビジョンを具体化 し、変革の優先順位と投資判断を明確にする。

DX研修の主なタイプ(概要)

全社員向けリテラシー研修
(DX基礎研修)

目的:共通言語化・抵抗感払拭

代表的テーマ例:

  • DX基礎1 — “D”デジタルとは / “X”トランスフォーメーションとは
  • DX基礎2 — 第四次産業革命と競争原理

推進リーダー研修
(DXリーダー研修)

目的:施策立案・プロジェクト推進

代表的テーマ例:

  • DX 戦略の類型と事例(攻めのDX / 守りのDX)
  • 戦略策定と実行(デザイン思考・カスタマージャーニー)

経営層向けDX研修

目的:戦略策定・投資判断

代表的テーマ例:

  • DX と企業ビジョン
  • ガバナンス強化・ロードマップ設定

 

DX研修の3つの目的

DXは、デジタル(手段)を活かし、デジタル時代(背景)に適応するために事業と組織を変革することです。研修の狙いは、用語やツール習得そのものではなく、組織が自走して変革に踏み出し続けるための土壌・人・方針を整えることにあります。以下の3点を重視します。

1. 共通認識と“変革の土壌”づくり(Why × 共通言語)

部門や職種ごとにばらつきがちな「DXの意味」を一本化し、「なぜ今、何を変えるのか」を自社の文脈で腹落ちさせます。手段先行を避け、まずは顧客・市場・競争の変化を起点に、変革の必然性を共有します。

そのうえで、自社を取り巻く環境変化の理解現状の課題認識自社がどんな価値を提供しているかの共通認識を揃え、全社で同じ地図を持つ状態をつくります。

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2. 価値創造を牽引する実践的リーダー育成(企画しながら学ぶ)

“学んでからやる”ではなく、“企画しながら学ぶ”進め方で、推進の中核となる人材を実践的に育てます。実在の顧客課題を「誰の、どんなジョブの、どんな課題か」で整理し、カスタマージャーニーで体験を分析。リアル×デジタルの接点で提供価値を設計し、最終的にDX企画をプレゼンまで仕上げます。

注釈:ジョブ=顧客が成し遂げたい進歩や片づけたい用事のこと/カスタマージャーニー=顧客が目的達成に至るまでの体験の一連の流れ。

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3. 経営と実務をつなぐ“橋渡し”(ビジョン・方針)

現場の企画が孤立しないよう、経営の意思と前提を合わせ込みます。研修内でDXビジョン骨子(全社/事業別)を作成し、変革の拠り所を明確化します。

  • 現状分析:上位目的(企業理念)、環境変化
  • 戦略変革方針:誰に、どんな価値を、どのように提供するか
  • 組織変革方針:ヒト、マネジメント・組織形態、プロセス(データ利活用)

その後、戦略・組織それぞれについて「あるべき姿/課題/対策案」を整理します(推進体制・役割の設計は必要に応じて実施)。

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DX研修で得られる3つの効果

1. 合意形成と横断連携が加速する

ばらつきがちな「DXの意味」「なぜ・何を変えるか」の前提が揃い、部門間の擦り合わせが短縮されます。用語・判断基準・優先順位の共通化により、会議の往復や個別最適の衝突が減り、企画のスタートラインに素早く立てるようになります。

  • 共通言語で議論が進む
  • 依頼↔対応の行き違いが減る
  • 全社の“今やるべきこと”が明確になる

2. 顧客価値起点のDX企画が“形になる”

“学んでからやる”ではなく“企画しながら学ぶ”進め方で、現実のテーマがプレゼン可能な案に仕上がります。実在の顧客課題を「誰の、どんなジョブの、どんな課題か」で整理し、カスタマージャーニーで体験を可視化。リアル×デジタルの接点で提供価値を設計し、社内提案に耐えるストーリーへまとめます。

  • 顧客セグメント×ジョブの仮説が明確
  • 提供価値と体験の流れが一枚で説明できる
  • “まずどこから始めるか”が決まる

3. 経営の意思決定が速く、迷いが減る

研修で作るDXビジョン骨子(全社/事業別)を拠り所に、Who(誰に)・What(どんな価値を)・How(どう届けるか)と、組織変革の方向性を言語化。これに沿って案件の優先順位付けや“やる/やらない”の判断が揃うため、現場の企画が孤立せず前に進みます。

  • 投資・リソース配分の基準が共有される
  • 止める判断がしやすくなる
  • 経営と現場の会話が具体化する

DX研修の進め方ステップ

よくある質問(FAQ)

導入事例を見る

【株式会社ADEKA様】DX基礎研修事例―現場主導で進める人財育成と変革の第一歩

左から、一色様、森田様、井出様

グローバルに事業を展開し、化学品・食品・ライフサイエンス分野で人々の暮らしを豊かにしてきた株式会社ADEKA。同社は2024年度、中期経営計画「ADX2026」の中核施策としてDX推進を掲げ、全社的な変革を加速させています。
その起点となったのが、デジタルトランスフォーメーション研究所の「DX基礎研修」です。
研修を主催したDXプロジェクトメンバーの声も交え、研修実施の背景や狙い、現場で生まれた気づきや変化について詳しくご紹介します。

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