「事業幹部・部長向けDX研修」は、事業本部長・事業部長・部長・次世代リーダー層を対象に、DXによる環境変化を踏まえて、自社の事業戦略の基本方針を検討する2日間の実践型研修です。

全社のビジョンや経営方針、中期経営計画を踏まえながら、原則として1グループが1つの事業を担当します。自社の実際の事業を題材に、環境分析、戦略オプションの作成・評価、重要課題の問題解決までを一連のプロセスで行います。

ワークショップでは、ChatGPT、Microsoft Copilot、Geminiなどの生成AIを活用します。生成AIに戦略を考えさせるのではなく、参加者が問いを立て、生成AIの提案を評価し、グループで話し合いながら事業の実態に合った戦略へと磨き上げます。研修で作成する「事業別DX戦略基本方針骨子」は、事業部の中期経営計画や次年度計画、個別施策を検討する際のたたき台として活用できます。

「事業幹部・部長向けDX研修」の目的・ゴール

本研修の目的は、「DX」「戦略策定」「生成AIとの共創」の3つを一体として学び、自社の事業を変革するための基本方針を描くことです。

  • DXの基礎理解:DXとは何か、なぜデジタル化だけでは十分ではないのかを理解し、顧客視点と全体最適の考え方を身につける
  • DX戦略策定の実践:環境分析から戦略オプションの作成・評価、重要課題の問題解決まで、一連の戦略策定プロセスを実践する
  • 生成AIとの共創:生成AIを情報整理、分析、アイデア発散、言語化のパートナーとして活用し、戦略検討の質とスピードを高める

研修のゴールは、完成した経営計画を作ることではありません。事業を取り巻く環境変化、これから目指す戦略、解決すべき重要課題と解決方針を整理し、関係者が共通認識を持って次の検討へ進める状態を目指します。

本研修で検討するDX戦略の範囲

企業には、全社戦略、事業戦略、IT戦略、人材戦略、組織戦略など、さまざまな単位の戦略があります。本研修が主に扱うのは、デジタルによる環境変化を踏まえた「事業単位の戦略」です。狭義のIT戦略や、デジタルツールの導入計画を作る研修ではありません。

技術の進化、顧客ニーズの変化、業界構造の変化などを起点として、「誰に、どのような価値を、どのように提供するか」を見直します。そのうえで、データやデジタル技術を事業の変革にどう活用するかを検討します。事業ごとの戦略方針が明確になることで、IT部門やDX推進部門に対しても、事業側から必要な仕組みやデータ活用について具体的な要望を伝えられるようになります。

対象者

本研修は、事業戦略の策定・実行に関わるマネジメント層を主な対象としています。

  • 事業本部長、事業部長、ビジネスユニット長
  • 部長、部室長、プロダクトグループ責任者
  • 事業企画・経営企画担当者
  • 将来の事業責任者・経営幹部候補
  • DXや事業変革を推進するプロジェクトリーダー

開催例

  • 複数の事業部から本部長・部長クラスを集め、事業部ごとにグループを構成する全社研修
  • 特定の事業部内で、部長・課長層が1つの事業戦略を検討するワークショップ
  • 次期部長・事業責任者候補を対象に、自社事業の戦略策定を実践する選抜研修

研修の3つの特徴

1.自社の実際の事業を題材にする

架空のケーススタディではなく、自社の実際の事業を題材にします。複数の事業部が参加する場合も、原則として1グループが1つの事業を担当し、事業固有の顧客、競争環境、技術変化、自社の強みを踏まえて、その事業がこれから目指す方向性を検討します。研修で作成した成果物は、事業部内で戦略をさらに具体化する際のたたき台として活用できます。

2.環境分析から重要課題の問題解決までを一貫して実践する

環境分析だけ、アイデア創出だけで終わる研修ではありません。T2C分析、SWOT分析、クロスSWOT、Who・What・How、ジョブ理論、カスタマージャーニーなど、目的に応じたフレームワークを組み合わせます。環境変化を捉え、複数の戦略オプションを比較し、優先する戦略を選び、戦略実行上の重要課題と解決方針までを一貫して検討します。

3.生成AIを活用しながら、人間が判断・合意する

ワークショップでは、ChatGPT、Microsoft Copilot、Geminiなど、お客様の利用環境や社内ルールに応じた生成AIを活用できます。使用するプロンプトは特定の製品に依存しない汎用的な内容で設計し、生成AIは情報の整理、分析案の作成、アイデアの発散、比較、言語化を支援します。一方、何を検討するかという問いを立て、提案を評価し、事業の実態に即した意思決定を行うのは参加者です。

生成AI時代の戦略設計におけるAIと人間の役割分担
生成AI時代の戦略設計におけるAIと人間の役割分担

事業戦略研修のプログラム内容

本研修では、「環境分析」「戦略分析」「課題分析」という3段階で、事業別DX戦略基本方針骨子を作成します。DX戦略策定プロセスについての詳細は、「DX戦略の立て方と策定プロセス|経営層向け実践フレームワーク3ステップ」もご参照ください。

事業幹部・部長向けDX研修のDX戦略策定プロセス
事業幹部・部長向けDX研修のDX戦略策定プロセス

STEP1:環境分析―事業の前提を変える変化を捉える

最初に、全社のビジョンや経営方針、中期経営計画における自事業の役割を確認します。そのうえで、今後3~5年を目安に、事業の前提を変える可能性のある環境変化を分析します。目的は情報を網羅的に集めることではなく、「何が変わるのか」「なぜ変わるのか」「自社の事業に何が起こるのか」を考え、戦略を見直すための示唆を得ることです。

T2C分析

DX時代の環境分析で重要な3つの視点から、情報を整理します。

  • Technology:デジタル技術をはじめとした技術の進化
  • Customer:市場構造、顧客ニーズ、購買行動の変化
  • Company:自社の強み、弱み、経営資源、事業基盤

SWOT分析

T2C分析で整理した情報を、自事業にとっての「強み」「弱み」「機会」「脅威」として解釈します。同じ環境変化であっても、自社が対応できれば機会になり、対応できなければ脅威になることがあります。単なる情報整理ではなく、自社の事業にとってどのような意味があるのかを考えます。

クロスSWOT分析

強み・弱みと機会・脅威を組み合わせ、今後取り得る戦略オプションを検討します。

  • 強みを使って機会をつかむ
  • 強みを使って脅威に対抗する
  • 弱みを克服して機会をつかむ
  • 弱みと脅威の重なりを避ける

生成AIも活用しながら選択肢を広く出し、その中から検討に値する2~3案の戦略オプションに絞り込みます。

T2C分析からSWOT分析、クロスSWOT分析へ展開する流れ
T2C分析で環境情報を整理し、SWOT・クロスSWOTから戦略オプションを導く流れ

STEP2:戦略分析―これからのWho・What・Howを選ぶ

環境分析で作成した戦略オプションごとに、「これまでの戦略」と「これからの戦略」をWho・What・Howで整理します。

  • Who:誰に提供するか。優先する市場・顧客、意思決定者、利用場面
  • What:どのような価値を提供するか。顧客が実現したい成果や避けたい損失
  • How:どのように提供するか。商品・サービス、データ、業務、収益モデル、パートナー、営業方法など

戦略のBefore/Afterを可視化することで、今後変えるべきことと、戦略実行を阻む課題が見えやすくなります。さらに、複数の戦略オプションを「全社方針や中期経営計画との整合性」「戦略を実現した場合のインパクト」「自社の経営資源や能力を踏まえた実現可能性」の3つの軸で評価し、優先して検討する戦略オプションを1つ選択します。

Who・What・Howによるこれまでとこれからの事業戦略の比較
Who・What・Howによる、これまでとこれからの事業戦略の可視化

STEP3:重要課題の問題解決―戦略を実現するために何を解くか

優先する戦略オプションを選んだだけでは、戦略は実行できません。戦略を実現するうえでの課題を洗い出し、優先して解決すべきテーマを選びます。そのうえで、「問題定義」「問題特定」「解決策立案」という問題解決のプロセスに沿って、重要課題を掘り下げます。

問題定義、問題特定、解決策立案で構成する問題解決プロセス
戦略実行上の重要課題を掘り下げる問題解決プロセス

問題定義―そもそも何を解くべきか

ジョブ理論を活用し、「誰が、どのような状況で、何を成し遂げたいのか」を考えます。最初から完璧な問題を設定しようとせず、問題を一度仮置きしたうえで、生成AIとの対話とグループ討議を通じて、解決する価値のある問題へと再定義します。ジョブ理論は、顧客課題と社内業務課題の両方に活用できます。

  • 顧客課題:顧客が商品やサービスを利用する場面で、実現したいことや困っていることを明らかにする
  • 社内業務課題:社員が業務を進める場面で、実現したいことや阻害されていることを明らかにする

問題特定―どこが最も重要な問題か

カスタマージャーニーを使い、顧客体験や社内業務を時系列のプロセスに分解します。各段階の行動、実現したいこと、阻害要因を可視化し、解決すべき課題の候補を洗い出します。顧客課題の場合は「課題の大きさ」と「自社の貢献可能性」、社内業務課題の場合は「課題の大きさ」と「発生頻度」などの評価軸を用い、最も優先して解決すべき課題を選びます。

解決策立案―解決方針と具体策を考える

特定した重要課題に対し、生成AIを活用して幅広い解決策を出します。解決策は、単なる施策の羅列ではなく、「どのような考え方で解決するか」という解決方針と、それを実現する具体策に分けて整理します。具体策は、デジタル施策だけでなく、業務、サービス、制度、運用などのリアルな施策も含めて検討し、課題解決へのインパクト、コスト・労力、実現可能性などの軸で評価して優先順位を決定します。

DX戦略の実行に向けて―変革課題への備えを学ぶ

本研修では、実行プランの作成や施策の実行までは行いません。問題解決ワークショップの後に、戦略基本方針を実行可能なプランへ展開する際の重要ポイントをレクチャーします。

  • 新たな「あるべき姿」と現状のギャップから、変革課題を洗い出す考え方
  • 変革方針をWhat・How・Whyで伝え、組織内の理解と納得を醸成する考え方
  • 部門・役割ごとの期待行動を具体化し、戦略を行動につなげる考え方
DX戦略実行に向けた変革課題の洗い出しと変革方針の浸透
DX戦略の実行に向けた変革課題の洗い出しと変革方針の浸透

最終アウトプット:事業別DX戦略基本方針骨子

2日間の研修を通じて、次の内容を一連のワークシートにまとめます。

  • T2C分析とSWOT分析
  • クロスSWOTと戦略オプション
  • これまでとこれからのWho・What・How
  • 戦略オプションの評価結果
  • 戦略実行における重要課題
  • 問題定義と問題特定
  • 解決方針と具体策

これらを「事業別DX戦略基本方針骨子」として整理します。成果物は、そのまま完成した経営計画として使用するものではありません。事業部内でさらに検討を深め、中期経営計画、次年度計画、個別施策などへ具体化していくためのたたき台として活用できます。

開催概要

  • 開催回数:2日間
  • 形式:対面での開催を推奨。オンラインでの実施も可能
  • 定員:20~25名程度
  • グループ構成:1グループ4~5名程度
  • 検討単位:原則として1グループ1事業

カリキュラム構成例

Day1:環境分析と戦略分析

  • 研修の目的と進め方
  • DXの基礎
  • DXが求められる背景
  • 部分最適と全体最適
  • DX戦略策定の全体像
  • T2C分析とSWOT分析
  • クロスSWOTと戦略オプション作成
  • Who・What・Howによる戦略分析
  • 戦略オプションの評価
  • 戦略実行における重要課題の洗い出し

Day1で作成した環境分析・戦略分析のワークシートをブラッシュアップし、Day2の冒頭でグループごとに共有します。

Day2:重要課題の問題解決

  • DXの分類と事例
  • Day1の環境分析・戦略分析の共有
  • 問題解決プロセスの基本
  • ジョブ理論による問題定義・問題再定義
  • カスタマージャーニーによる問題の分解
  • 解決すべき重要課題の選択
  • 解決策の発散・評価・優先順位付け
  • 問題と解決策の整理
  • DX戦略の実行に向けた変革課題への備え(レクチャー)
  • 検討結果の共有と振り返り

担当講師・研修設計

本研修は、荒瀬光宏がメイン講師を務め、海老原一司が研修設計およびワークショップでの検討支援を担当します。DX・経営戦略に関する専門知識と、企業変革・人材育成の実践知を組み合わせ、自社の事業を題材とした戦略策定を支援します。

荒瀬光宏(メイン講師)


事業幹部・部長向けDX研修講師:荒瀬光宏
DX研修講師:荒瀬光宏

荒瀬光宏(株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役/DXエバンジェリスト)

慶應義塾大学法学部、グロービス経営大学院、日本政策学校卒。日本初のDX専門研究機関である株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所創設者。国内外の多くの企業および地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を研究してきた立場から、DX成功の要諦について実践的なノウハウを有する。組織の5年後、10年後の環境認識をベースに将来のあるべき姿、経営戦略を検討し、その戦略を実現できる組織体制、文化、マネジメントへの変革を図る全社変革プロジェクトを得意とする。

海老原一司(研修設計・ワークショップ支援)

企業変革研修デザイナー:海老原一司
企業変革研修デザイナー:海老原一司

海老原一司(株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 企業変革研修デザイナー)

早稲田大学理工学修士、グロービス経営大学院卒。通信、データセンター、オフィス用品販売会社にて、10年超にわたり新規事業開発を経験。マーケティング研修・コンサルティング会社にて、BtoBマーケティングスペシャリストとして7年間、大手上場企業を中心に担当。マーケティング力強化を起点とした企業変革を伴走支援。現在、企業向けDX研修の設計、講師、および営業・マーケティングに従事。DXに必要な「IT」「事業創造」「組織変革」の各領域において豊富な経験を有する。

よくあるご質問

Q. 複数の事業部が参加する全社研修として実施できますか?

A. 可能です。複数の事業部・ビジネスユニットが参加する場合は、原則として1グループが1つの事業を担当し、事業ごとにDX戦略基本方針骨子を作成します。各グループの検討結果を共有することで、事業ごとの環境認識や戦略の違いに加え、全社共通の課題や事業間連携の可能性も確認できます。

Q. ITの専門知識がない部長でも参加できますか?

A. 問題ありません。本研修は、プログラミングやITツールの操作を学ぶ技術研修ではなく、DXによる環境変化を踏まえて事業戦略を考える研修です。技術の詳細を習得するのではなく、ビジネスリーダーとして、デジタル技術やデータを事業にどう活用するかを判断する視点を養います。

Q. 研修で利用する生成AIに指定はありますか?

A. 特定の生成AIに限定していません。ChatGPT、Microsoft Copilot、Geminiで利用できる汎用的なプロンプトを使用するため、お客様の利用環境や社内ルールに応じて選択できます。生成AIの基本操作についても必要に応じて説明しながら進めるため、高度なプロンプト作成スキルは必要ありません。

DX研修のお問い合わせ

DX研修のご相談は、こちらの専用フォームよりお気軽にご連絡ください。依頼内容が固まっていない段階のご相談も歓迎です。「何から始めるべきか」「どの層から着手するべきか」「社内の温度差をどう埋めるか」など、現状の整理から壁打ち相手として伴走します。ヒアリング後、最適な進め方・対象・期間のたたき台をご提案します。