「事業幹部・部長向けDX研修」は、事業本部長・部長・次世代リーダー層を対象に、DXの視点を取り入れた「事業戦略(または部門戦略)」の骨子を検討する実践型ワークショップです。

全社のDXビジョンや経営方針を、現場が実行可能な戦略へと具体化するための「DXの基礎知識」と「戦略策定の型(プロセス)」を学びます。研修で作成した「DX戦略骨子案」は、そのまま各事業部・部門の中期経営計画や次年度計画のたたき台として活用することを目指します。

「事業幹部・部長向けDX研修」の目的・ゴール

本研修のゴールは、管理職としての視座を高め、実務の戦略策定に直結する「DX戦略骨子(変革の設計図)」を描くことです。

  • 視座の引き上げ: 既存業務の管理(守り)だけでなく、デジタル時代の環境変化を捉えた事業変革(攻め)の視点を持つ
  • 実務計画への接続: 全社方針と現場のリアリティを統合し、事業部・部門の中期計画等に反映できる「DX戦略の全体像」を検討する
  • 実行体制の設計: 戦略を実行するための組織能力(人材・プロセス・データ)の課題を明らかにし、組織変革の道筋をつける

対象者

「事業戦略」または「部門戦略」の策定・実行責任を持つマネジメント層。

  • 事業部門幹部: 事業部長、本部長、事業企画担当者
  • 部門長: 部長、部室長、課長
  • 次世代リーダー: 将来の経営幹部候補、変革プロジェクトリーダー

開催例

  • 各事業部の本部長・部長クラスを集めた「全社選抜リーダー研修」(20名)
  • 特定事業部内の部長・課長層を集めた「事業部単位ワークショップ」(15名)
  • 次期部長昇格候補者を対象とした「戦略策定研修」(10名)

研修の3つの特徴

  • 実務直結のアウトプット: 架空のケーススタディではなく、実際の「自社の事業・自部門」を題材にします。作成した戦略骨子は、実務における次期戦略等の検討材料として活用できます。
  • 「管理職」から「経営者」へ: ITツールの知識ではなく、外部環境(市場・競合・技術)を分析し、競争優位性を再構築する「経営視点(ミニCEO視点)」を養います。
  • 全社方針と現場の接続: 経営層が描くビジョン(抽象度高)と、現場の業務(具体度高)の間にあるギャップを埋め、実行可能なロードマップに落とし込みます。

研修プログラム内容

本研修では、デジタルトランスフォーメーション研究所のフレームワークに基づき、3ステップで「事業別(部門別)DX戦略骨子」を策定します。

なお、DX戦略策定プロセスについての詳細は、DX戦略の立て方とは?マネジメント層向け実践3ステップと策定プロセスを解説もご参照ください。

DX戦略策定プロセス
DX戦略策定プロセス

STEP1:現状分析(事業環境と自社の立ち位置)

管掌する事業・部門を取り巻く環境を分析します。

環境分析(T2C分析)とSWOT分析の流れ
環境分析(T2C分析)とSWOT分析の流れ
  • 前提確認: 全社ビジョンや中期経営計画における、自事業・自部門の役割(ミッション)を再確認します。
  • 環境分析(T2C): 顧客ニーズの変化(Customer)、競合の動きや代替品の脅威、活用可能な新技術(Technology)を整理します。
  • SWOT分析: 上記を踏まえ、自事業の「勝ち筋(機会×強み)」と「課題(脅威×弱み)」を特定します。

STEP2:DX事業戦略の策定(Who/What/How)

分析結果に基づき、これからの事業戦略の概要を描きます。

新旧戦略分析と打ち手マップ策定の流れ
新旧戦略分析と打ち手マップ策定の流れ
  • 顧客と提供価値の再定義: 「誰に(Who)」「どんな価値を(What)」提供するのか、デジタル時代に合わせて見直します。
  • 提供手段(How)の変革: リアルとデジタルをどう組み合わせるか、新たな顧客接点やサービスモデルを検討します。
  • 打ち手マップ: 既存事業の深化(守り)と新規事業の探索(攻め)の両面から、具体的な戦略アクションを定義します。

STEP3:組織変革方針の検討

描いた戦略を実行するために、自組織をどう変えるべきかを議論します。

組織変革方針検討テンプレート
組織変革方針検討テンプレート
  • 組織能力のギャップ分析: 理想の戦略に対し、現状の「業務プロセス」「人材スキル」「データ活用基盤」「組織風土」に何が不足しているかを洗い出します。
  • 変革ロードマップ: 組織の課題を解決し、戦略を実行に移すための具体的なアクションプランを策定します。

最終アウトプット:事業別(部門別)DX戦略骨子

全ステップの討議内容を集約し、事業・部門のDX戦略骨子としてまとめます。研修の最後に発表を行い、講師や他部門の参加者からのフィードバックを得ることで、実務計画への反映に向けたブラッシュアップを行います。

DX戦略(DXビジョン)骨子テンプレート
最終アウトプットイメージ:DX戦略骨子

開催概要

  • 開催回数: 2日~3日(Day1:半日、Day2・Day3:1日を推奨)
  • 形式: リアル(対面)推奨、またはオンライン
  • 定員: 25名程度(1チーム4〜5名でのグループワーク推奨)

カリキュラム構成例(3日間コース)

事業幹部・部長向けDX研修カリキュラム構成例
事業幹部・部長向けDX研修カリキュラム構成例
  • Day1(半日): DX基礎講義、DX戦略策定の基礎
  • Day2(1日): 環境分析(T2C分析、SWOT分析)、戦略分析(Who/What/How)、DX戦略策定、打ち手マップ作成
  • Day3(1日): 組織変革方針検討、DX戦略骨子発表、全体ディスカッション

担当講師

経営層向けDX研修講師:荒瀬光宏
経営層向けDX研修講師:荒瀬光宏

荒瀬光宏(株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役/DXエバンジェリスト)

慶應義塾大学法学部、グロービス経営大学院、日本政策学校卒。日本初のDX専門研究機関である株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所創設者。国内外の多くの企業および地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を研究してきた立場から、DX成功の要諦について実践的なノウハウを所有する。組織の5年後、10年後の環境認識をベースに将来のあるべき姿、経営戦略を検討し、その戦略を実現できる組織体制、文化、マネジメントへの変革を図る全社変革プロジェクトを得意とする。

よくあるご質問

Q. 複数の事業部が混在していても実施できますか?

A. 可能です。その場合、1グループ1事業部で構成し、事業部ごとに固有の戦略を作成します。異なる事業部の部長同士が同席することで、社内シナジーの発見や多面的な視点の獲得につながるメリットがあります。

Q. ITの専門知識がない部長でもついていけますか?

A. 問題ありません。本研修は技術研修ではなく「戦略研修」です。技術的な詳細は専門家に任せることを前提に、ビジネスリーダーとして「どう技術を事業に活かすか(目利き)」の視点を養います。

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